従業員に訴えられた経営者の方へ

会社を経営していると、労務問題というのは直面することが避けられないものです。

会社は人と人の集まりですから、人間関係が良好な状態のときは問題として顕在化しないかもしれません。
しかし一度火を噴くと、積もり積もった不満が爆発して重大な問題となってしまう場合が多く、結果として労働者(従業員・社員)から訴えられてしまうことが考えられます。

典型的な事例としては、未払残業代や未払退職金の支払請求、パワハラ・セクハラを原因とした損害賠償請求、労務遂行中に生じた事故に関する損害賠償請求といったものが挙げられます。
これらの問題が生じないよう普段から予防策を講じるべきなのは当然でありますが、それでも訴えられてしまった場合はどうしたらよいのでしょうか。

結論から申し上げて、支払うべきものは支払うが、争うべきところは争わなければなりません。

では、支払うべき金額はいくらで、争うべき事項は何であり、どのようにして争えばよいのでしょうか。

書面はどのように書き、証拠として何を提出すればよいのでしょうか。

裁判所ではどのように振る舞えばよいのでしょうか。

そのような事柄を判断して実際に行動するには、法的知識と経験を必要とします。

また、会社にとって労働者(従業員・社員)から訴えられることは大変にイレギュラーな事態であり、会社の労力を必要以上に訴訟への対応に割かれてしまって、経営への影響も生じさせかねません。

しかも、労働者(従業員・社員)は一緒に仕事をしてきた人間ですから、訴訟への対応は経営者にとっても大きなストレスとなってしまいます。

冷静な判断をすることも難しいでしょう。したがって、労働者(従業員・社員)から訴えを提起された場合は、ぜひ弁護士に対応をお任せいただきたいと思います。

また、労働問題で特筆すべき事項として、最近は「労働審判」という手続がよく用いられています。

これは、個別労働紛争について、裁判官1名と労働審判員2名で構成された労働審判委員会が、原則として3回以内の期日で、労働者(従業員・社員)と使用者(経営者)の言い分を考慮した上での調停(和解による解決)を試み、調停ができないときは事案の実情に即した審判を行う手続です。

「3回以内の期日で」と言われてはいますが、通常、1回目の期日で方向性は固まってしまうので、十分な準備をしないで出席すれば命取りになりかねません。

しかも、1回目の期日は、原則として労働者(従業員・社員)の申立てから40日以内の日を一方的に決められてしまいますので、反論(答弁書作成)と証拠提出の準備にかけられる時間は想像以上に短いです。

したがって、労働審判が申し立てられたら直ちに弁護士にご相談されることを強くお勧めします。

 

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