消費者保護法と注意点

消費者保護法とは、消費者契約法、特定商取引法、割賦販売法、貸金業法、利息制限法など、消費者を保護することを目的とした法律の総称で、BtoCの事業を行う企業は特に注意すべきものです。

エステをはじめとした美容業界、英会話教室をはじめとした学習教材等の業界、リフォーム業者などは、大半の方々が真面目に事業を営む一方で残念ながら悪質な業者もいるイメージを持たれていることもあり、消費者との間でクレームやトラブルが生じやすいため、一層の注意が必要となります。

また、特に最近は消費者の権利意識が強く、クレームやトラブルの内容がインターネットで瞬時に(しかも、時には尾ひれがついて)拡散されて会社(企業)の評判が失墜するとともに、事案によっては顧客(消費者)が集団となって訴訟を起こす(「集団訴訟」とも呼ばれます)こともあり、1つのトラブルがきっかけで会社(企業)の存亡の危機につながることもあります。それだけ、消費者保護法への対応というのは企業にとって重要な課題だと考えるべきです。

例えば、消費者契約法一つとってみても、顧客(消費者)に対する勧誘方法に関する規制(不実告知・断定的判断の提供・不利益事実の不告知)を遵守しなければならず、その教育・監督体制を設ける必要があります。

また、顧客(消費者)との間の契約については、企業の損害賠償責任を免除する条項や、顧客(消費者)が支払う損害賠償の額を予定する条項をはじめとして、内容によっては無効とされるリスクのある条項があるので、事前に弁護士によるリーガルチェックを受けておくことが求められます。

また、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、特定継続的役務提供(平成28年2月時点で、エステティックサロン、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の6業種が対象となり得ます)、連鎖販売取引(いわゆるマルチ取引)、業務提供誘因販売取引(いわゆる内職商法やモニター商法など)、訪問購入(事業者が一般消費者の自宅等へ訪問して、物品の購入を行う取引)については、特定商取引法の適用があります。

そうすると、それぞれの取引に応じて、例えばクーリング・オフ制度への対応や勧誘・広告規制の遵守などを求められることになり、そのための企業内のマニュアル作りや監督体制等を整える必要があります。

このような体制を整備し、消費者保護法に則った事業を行うことにより、消費者トラブルの発生を予防することができるのです。

ただ、消費者保護法制は、消費者の権利意識の高さも相まって繰り返し改正があり、会社(企業)としてはその改正に対応していく必要があります。

顧問弁護士がついていれば、必要に応じて法改正情報を提供することができますので、このような改正にも対応していくことができるようになります。

また、不幸にして顧客との間でクレーム・トラブルが生じた場合の体制整備・対応方法についても、弁護士からアドバイスすることが可能です。

企業が消費者保護法にのっとり適切な経営をしていくためにも、ぜひ常に弁護士に相談できる体制を作っていただきたいと思います。

 

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