法人破産の手続と流れ
ここでは、法人破産の手続の流れについてご説明致します。
1 資料収集・事情聴取・申立書類準備
破産申立の準備のため、必要な書類を収集・整理します。
主として以下のような書類をお預かりし、内容について検討します。
- 過去2~3年分の確定申告書・直近の試算表
- 会社の債務に関する契約書(消費貸借契約書・リース契約書等)・買掛金等の請求書
- 会社の会計帳簿(元帳、出納帳、売掛帳、買掛帳、給与台帳等)
- 租税・社会保険料の金額を示す書類(納付書、通知書等)
- 自動車・車両の車検証
- その他会社の契約に関する一切の契約書・書類 など
2 財産等の保管
会社の財産は、将来における配当(弁済)の原資です。
債権者への配当の元手となるため、一部の者が抜け駆けすることは防ぐ必要があります。
そのため、事情聴取、資料収集と並行して決算書や会計帳簿受取手形・小切手、各種契約書類、代表印、不動産権利証、鍵などをお預かりすることになります。
3 費用
破産申立のための実費(印紙、郵券、官報広告費)、予納金が必要となります。
予納金の額は事案や裁判所により異なります(東京地裁における予納金額の最低金額は20万円です。)。
これらの費用及び弁護士費用は破産申立前にお預かりします。
4 申立て後の対応
いただいた資料等をもとに、速やかに破産申立てを行います。
申立後は、債権者に対し受任通知を送付し、会社の事務所、工場、営業所等の入口とうに弁護士名の告示書を貼付します。
なお、法人の場合は、申立前に受任通知は送付しないことが多いです。これは倒産の情報が漏れることによる混乱の回避の要請が強く働くからです。
5 破産手続開始決定と破産管財人の選任
破産の申立を行うと、裁判所が一件記録を検討し、破産手続開始の要件が法律上存在するかを検討します。
そして、要件があると認められると、裁判所が破産手続開始決定をします。
この破産手続開始決定により、会社の財産は、破産管財人が管理することとなり、会社が処分することはできなくなります。
破産手続開始決定と同時に破産管財人が選定され、会社の代表者・代理人弁護士とできるだけ早い段階で打合せがなされます。
ここで、破産管財人から詳細な事情聴取がされるとともに、処理すべき会社財産の内容・処分方針についても協議がなされます。
破産管財人は会社財産(財団)を順次処分し換価していきますが、破産管財人の要請がある場合、必要な協力を行う必要があります。
6 債権者集会
破産手続開始決定日から数ヶ月後(通常は3ヶ月程度の後)、債権者集会が開かれます。
この債権者集会において、破産管財人から管財業務の結果(未了の場合途中経過)の報告がされ、裁判所が必要な決定をします。
管財業務が未了の場合、破産手続が続行され、次の債権者集会の日程が決定します。
他方、破産会社の財産(財団)の処分・換価が終了し、債権者への配当ができるような原資が確保できた場合、配当の手続に入ります。
7 債権者への配当
破産会社の財産(財団)の処分・換価が終了し、債権者への配当ができるような原資が確保できた場合、配当の手続がなされます。
配当については、一般債権者に対して債権額に応じて平等に配当されます。
8 終結・廃止決定
破産手続の終了には、終結と廃止があります。
終結又は廃止決定により、会社の権利義務は消滅し、会社の法人格は完全に消滅します。
社長個人の破産も同時に進める場合には
会社の代表者の方が会社の債務を連帯保証していることがよくあります。
その場合には、会社代表者の方も同時に破産の申立てをしていただくことが多いかと思います。
手続としては、基本的には会社の破産と同様に、資料収集等を行うこととなります。
法人と会社代表者について同時に破産申立てをした場合には、通常同じ破産管財人が選任され、財産の換価、配当等を行っていきます。