株主総会
中小企業の株主総会
中小企業では、設立以来、株主総会を開いたことがないという会社が沢山あるようです。
株主同士が友好関係を保っているときには、事実上問題を生じないのですが、例えば、会社に内紛が起こると、反対派の株主から株主総会の不備を追及されることになります。
株主総会の必要性
株主総会を開催していないと、少数派の反対株主からどのような点を追及されるでしょうか。
株主総会は会社の基本事項を決定する機関です。したがって、株主総会を開かないまま会社経営をするということは、会社の殆ど全ての活動が無効だということですから、反対株主から、例えば、次のような主張をされるおそれがあります。
- 株主総会で適法に選任された取締役や監査役がいない。したがって、適法に選任された代表取締役もいない。その結果、会社の過去の事業執行は全て無効だ。
- 取締役や監査役が受け取った役員報酬は、株主総会決議を経ていない不当支出だから全て返還すべきだ。
- 代表取締役が株主総会議事録を添付してした役員選任登記は、虚偽の登記申請だから犯罪行為(公正証書原本不実記載罪)になる。
そこで、現在は内紛など起きていないとしても、弁護士の指導を受けて株主総会をちゃんと開いておくべきです。
内紛が起きてから初めて株主総会を開こうとしても、そもそも株主総会で適法に選任された代表取締役がいないわけですから、株主総会の招集ができません。
株主総会運営
中小企業の株主総会運営は公開会社と同じように行えばよいのでしょうか。
公開会社については、株主総会開催手続や株主総会対策に関して、沢山の解説書が出版されていますが、中小企業の株主総会の解説書は殆ど見当たりません。
中小企業の株主総会は、法律上も実際上も、公開会社とは異なる点が多数あります。
また、同じく中小企業といっても、取締役会設置会社か取締役会非設置会社かによって異なります。
取締役会非設置会社の株主総会が公開会社と異なるのは、例えば、次のような点です。
- 招集期間は1週間で足ります。
- 招集通知において、計算書類や事業報告を提出する必要はありません。
- 議題の制限がなく、総会の場で少数株主が新たな議題や議案を提案できます。
- その他、実際の運営として、中小企業の株主総会では基準日を設定する実益はありません。公開会社では、議決権行使書の持参者を株主と認めて議場に入場させていますが、中小企業では株主の面識があるので、そのような形式的な取扱いをする必要はありません。
指導弁護士の必要性
当事務所が指導した中小企業の株主総会では、議事進行中に反対派株主が議長の制止を無視して大声で抗議文を朗読し始めるなど、いわゆる「荒れる総会」のケースもあります。
そのような場合、現場に弁護士が臨場していなけば、適切な対応をすることは困難でしょう。