債権の種類にご注意ください

一般的な債権の消滅時効は10年であり、商事債権(債権者と債務者の両方かどちらか一方が会社であるときの商行為で発生する債権)については5年とされています。
もっとも,債権の内容によっては,5年よりも短い消滅時効期間が設けられている場合がありますので注意が必要です。主な債権の消滅時効をまとめると以下のとおりです。

 

主な債権の消滅時効

時効期間 債権の種類 具体例
1年
  • 労力の提供、演劇を業とするものの権利
  • 運送賃
  • 旅館・料理店・飲食店・貸席・娯楽場の宿泊料,飲食料,席料,入場料等に関する債権
  • 短期間の動産の賃借料
  • 大工、俳優の賃金
  • タクシーの運賃
  • ホテルの宿泊料、飲み屋の飲食代金
  • レンタルビデオ、貸衣装の料金
2年
  • 弁護士の職務に関する請求権
  • 生産者・卸売商人・小売商人が売却した産物・商品の代価(売買代金)に関する請求権
  • 自己の技能を用いて注文を受け,物を製作し又は自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に関する債権
  • 学芸又は技能の教育を行う者が,生徒の教育・衣食・寄宿の代価について有する債権
  • 給料債権
  • 弁護士の報酬
  • 商品の売掛金
  • クリーニング店・理髪店・美容院の代金
  • 学校・塾・家庭教師などの生徒に対する授業料や教材費
  • 給料、賞与(ただし、労働基準法上の「労働者」に該当しない場合は1年、退職金は5年)
3年
  • 医師の診療・助産師の助産・薬剤師の調剤に関する債権
  • 工事の設計・施工・監理を業とする者の工事に関する債権
  • 不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 未払診療報酬
  • 工事の請負代金
  • 交通事故の損害賠償

このように、比較的短期間で消滅時効が成立してしまう債権がありますので、早期に回収を行うことが必要です。

なお、民法改正により、債権は、債権者が権利を行使することができることを知った日から5年間行使しないとき、又は、権利を行使することができる時から10年間行使しないときは、時効によって消滅するとされる予定であり、現行法の職業別の短期消滅時効を定めた規定等は削除される見込みです。

 

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